問題解決 お役立ちコラム

集客戦略ホームページPart 3

SEOからCVへの連携術

価値のあるコンテンツづくりと
成果へ導くCVライティング

集客~売上アップを目指すホームページづくりにおいて、効果的なSEO施策によってターゲットを自社サイトに呼び込んだとしても、そこに来訪者の望んだ情報がなければすぐに離脱されてしまい、CV(コンバージョン)には至りません。まずは来訪したページに「ターゲットにとって価値のある情報=コンテンツ」を置くことが大切です。
最初、来訪者にその気がなかったとしても、コンテンツを読み込んでいくうちに、BtoBであれば「この会社に聞いてみよう」とか、BtoCであれば「お試し商品を買ってみよう」というふうに気持ちを動かし、リアルな顧客化につなげていくように流れを組み立てます。
このページでは自社サイトに流入した来訪者のニーズに応えていくコンテンツづくりと、来訪者が自社サイトの商品と他社の商品を比較・検討しているうちに、自社の商品・サービスに対する好意度を高め、「問合せ」「資料請求」「成約」といった態度変容へと導く文章術=CVライティングについてお伝えします。

1.ターゲットの検索ニーズに合致したコンテンツで構成

SNSの普及や移動通信システムの高度化によって、デジタル動画が文字情報に替わってコンテンツの主役になる、などと言われていますが、実際にはどうでしょうか? 当社でもWEBサイト上で動画を活用し、その効果は充分に認識していますが、筆者はWEBコンテンツで最も大切な要素は「文字情報=言葉」である、との見方を変えていません。
その理由として、集客のためのSEOでは、検索エンジンはクローラーと呼ばれるロボットにより「言葉」を収集し、これにさまざまな要素を加味したアルゴリズムによって順位を決定づけていることが挙げられます。今後、Chat GPTやBirdなど対話型AIが急速に進化しユーザーによる検索の仕組みが変わっていくと想定されますが、「言葉」の重要性は残っていくと考えるからです。
貴社の商品やサービスを購入してくれるターゲットは、知りたいと思っていることや、困っていることの解決策を「キーワード検索」によって調べにきます。検索エンジンから来訪するユーザーの中には、かなり本気度が高い見込み客が多いともいえます。ですので、検索された言葉から連想される「知りたいことやお悩み」の解決策を文字情報として伝えるコンテンツでページを上手に作り、ターゲットの来訪を待ち受ける戦術は、「自社の勝てるフィールドに引き寄せて戦う」という兵法的な見地からも理にかなっています。

2.顧客のWEB上の購買決定プロセス「SACPAS」を重視

アナログの時代、顧客が購買を決定するまでの心理プロセスはAIDMA
=Attention/認知、Interest/興味、Desire/欲求、Memory/記憶、Action/行動
といった態度変容モデルで語られました。
その後、ネット社会の進展とともに、株式会社電通が提唱したAISAS
=Attention、Interest、Search/検索、Action、Share/共有
というモデルも広く知られるようになりました。
私は、WEB施策でSEOを起点にCVへの流れをつくる場合、SACPAS
=Search、Attention、Comparison/比較、Preference/好意、Action、Spread/拡散
といふうに、「検索」を入口とし、ターゲットに「認知」させ、自社サイトに来訪してもらい、他と「比較」するうちに「好意」をもって「行動」即ちCVに至り、ユーザーレビューなどで「拡散」してもらう。
この一気通貫のオリジナルモデルを使ってコンテンツを設計しています。

ターゲットは、意図をもってキーワード検索してきます。その結果が検索画面に表示される訳ですから、検索結果画面上のタイトルやディスクリプションから「Attention/認知」の段階が始まります。ターゲットが自社サイトに流入してからは「Comparison/比較」されることを前提に、他社よりも自社の良いところと、他社とは違うところを上手に伝え、ターゲットとなる来訪者の「Preference/好意」を醸成し、問合せや成約といった「Action行動」につなげられるように全体設計とコンテンツ構成を考え、コピーを書いていきます。大切なのは、スタートからゴールまでを俯瞰して見ながら、各プロセスに沿って差別化していくようにストーリーを作り込むことです。

3.CVへ至る導線に沿って成果の最大化を目指す

旧来の広告メディアでは、生活者の購買決定プロセスに応じて、テレビCMや駅貼りポスターで認知度アップを、雑誌等のペイドパブリシティ(PR)で興味づけや好意度の醸成を、DMや店頭プロモーションビデオで実際のアクションを。と、媒体ごとに役割りがほぼ決まっていました。
しかし、広告メディアによるプロモーションには多大なコストがかかります。そこで近年では検索・集客からCVまでのプロセスを自己完結できる戦略型のホームページの重要性が高まってきた訳ですが、その要ともいえるのが実際のアクションへと導くCVライティングです。以下にCVライティングのポイントについて要点をお伝えしたいと思います。

1)ファーストビューの第一印象でつかむ

キャッチコピーとは、その名の通り「つかむ」コピーです。集客~CVを目指すサイトにおいては、ターゲットが最初に着地するページのファーストビューのキャッチは極めて重要になります。
「これは私に関係することだ」、「ずっと気になっていたことだ」、「役に立ちそう」「知りたい」…といった「!」を瞬時に感じてもらえるキャッチを書く必要があります。

2)ユーザーの求めていること、または結論から入る

サイトの性質、ターゲット設定によっても変わりますが、CVライティングの流れは「ニーズのつかみから」、あるいは「結論から」が基本になります。
ヒートマップで見るとよく判りますが、HPの最上部で100%あった来訪者が下にスクロールするに従ってどんどん離脱していきます。ですので、よくある起承転結の文章では、話しの序論の間にターゲットを取りこぼす恐れがあります。来訪者のニーズに答えていくために「問題提起、たとえば、こんなお悩みはありませんか?」から入るか、「自社の商品・サービスを購入した場合に得られるハッピーな結論」から入ることをお奨めします。

例)
問題提起型
台風が来るたびに「空き家」の実家が心配になりませんか?
貴社のHPは収益に1,000万円以上貢献していますか?

ハッピーな結論型
お荷物だった親の「空き家」が、毎月10万円も生み出すなんて。
HPを変えただけで問い合わせが3倍に!

3)ストーリー中盤は読者に寄り添って理解を促す

キャッチコピーが問題提起型から入った場合、そこから具体的な解決策を示していく。ハッピーな結論型から入った場合は、理想形に至るまでの理由やエビデンスを示していく。といった方向になります。
どちらの場合であっても、自社の商品・サービスがなぜ良いのか、他社とどう違うのかを伝える際に、他社と比較・検討されていることを前提に、「自社の狙っている市場とその顧客側からどう受けとめられるか」、マーケティングのSTP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)をベースに発想していくことが重要になります。
特に、ターゲットをきちんと設定しておくことにより、コンテンツの内容や、表現の難易度や、言葉遣いなどが、まったく変わります。

4)クロージングではCVへのハードルを低めに設定

人的な商談のクロージングでは、それまで積み上げてきた営業トークや顧客の興味などを上手にまとめ、適切なタイミングに「成約」へとつないでいきます。
集客サイトにおけるCVライティングの考え方も、基本的には商談でのクロージングと同じように、CVボタンをクリックしてもらうことですが、人的なセールスと違う点は、(ECサイトを除き)ネット上で必ずしも即成約につながらなくてもよい、という点です。
一般的には「問い合わせ」「資料請求」、「お試し価格での購入」といった心理的ハードルを下げた行動をコンバージョンとし、そこから先は人的セールス活動と合わせて対応していく「リードナーチャリング(顧客育成)」という手法を導入するパターンが多いと思います。

このように、集客戦略サイトではCVに至る全体のストーリーを組み立て、文章をしっかりと書いていかなくてはなりませんが、左脳に対して文字による情報を論理的に伝えるだけでなく、右脳に向かって感覚的に来訪者の心を刺激し「いいな」と思ってもらうことも同時に重視しています。
つまり「貴社らしさ」と「貴社の商品らしさ」を言葉だけでなくデザインも合わせた「世界観」として伝えていくことにより好意度を醸成し、他社と差別化していくのです。この好意度の醸成と差別化については、WEBブランディングデザインについて書いた「お役立ちコラム/差別化で選ばれる仕組みづくり」も併せてお読みいただければ幸いです。

問題解決 お役立ちコラムとは

VUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)の時代と呼ばれる現代においては、想定外のことが次々に起こり、ビジネスの現場でも噴出する問題に対処しながら、仕事を進めていかなくてはなりません。
そうした際に発想のヒントとして少しでもお役に立てるよう、コミュニケーションデザインの最前線で35年以上戦っている筆者が、マーケティングに関わるさまざまな問題・課題の解決策についてまとめたコラムです。

監修 杉山 信一

エーディープラント株式会社 代表取締役、早稲田大学商学部卒、広告クリエイティブ業界歴35年以上、WEB業界歴10年以上。マーケティング&ブランディングコンサルタント、クリエイティブディレクター。