問題解決 お役立ちコラム

問題解決マーケティングPart 1

問題解決のスタートは、
明確なゴールの設定から

そもそも問題解決マーケティングとは?

近年、多くの企業が、新型コロナ感染拡大によるダメージを受けました。さらに、ロシアのウクライナへの軍事侵攻による世界的な資源やエネルギーの高騰など、想定外の出来事が次々と起こり、先の見えにくい時代の中で、私たちは企業活動を続けていかなくてはなりません。こうしたときに役立つのが、マーケティングに「問題解決」の視点をとりいれる、という考え方です。筆者は、これを「問題解決マーケティング」と呼んでいます。
ここでいうマーケティング上の「問題解決」とは、一般的な障害やトラブル対応のことではなく、「顧客と自社の、満たされていない状況と理想形とのギャップを埋めること」を意味しています。自社の商品やサービスのマーケティング活動における理想形(ゴール)を設定し、そこに至る解決プロセスの中で問題箇所(ボトルネック)を特定し、それを改善、解決したら、全体に適合させていく… こうしたPDCAサイクルを回すことで経営企画、商品開発、営業、広告など、部門横断的にマーケティングに関わる一連のパフォーマンスを高め、最終的には「売れ続ける姿」に到達しようとする考え方であり手法です。

このコラムでお伝えしたいこと

  • 1. 問題解決は「理想と現実のギャップ」を埋めることから
  • 2. 最初にゴールを設定しなければならない理由
  • 3. ゴール設定で重視すべき5つのポイント

1.問題解決は「理想と現実のギャップ」を埋めることから

「マーケティング」とひと言で言っても、市場ニーズを探りながら商品やサービスを開発し、どのチャネルから、いくら位のプライスで、どんなプロモーション手法で売っていくのか、といった普遍的なマーケティングから、テクノロジーとともに日々進化するデジタルマーケティングまでその領域は多岐にわたります。
そして、そこには「解決すべき問題」が次から次へと現れます。

ここでいう問題とは、必ずしも悪い意味ではなく、「あるべき理想形と現状のギャップ」を意味します。筆者は、このギャップを埋め理想形に近づけていくのがマーケティングにおける問題解決の基本であると考えています。
この理想形は、「目標=ゴール」と置き換えることもできます。問題をネガティブなこととして捉えるのではなく、現状の上手く機能していない点や足りない点を把握し、自分たちが到達したいゴールを描き、そこに至るプロセス(段取り)を決め、ゴールに向かって皆でディスカッションを重ねて頑張りましょう! というふうに考えるわけです。
すると、問題解決が一人で頭を抱えるようなモヤモヤしたものではなく、チームによる「理想形へのチャレンジ」であると、前向きに捉えられるのではないでしょうか。

2.なぜ、最初にゴールを設定しなくてはならないのか

たとえば、あなたが組織の中でマーケティングや広告・販促を担う立場であったとして、自分の会社の営業部門から「新たな商品を市場導入するために、現行のサービスサイトをリニューアルしてほしい」と具体的な作成を依頼されたとします。そうした際にはまず、依頼者に話しを聞き、ディスカッションしながら「ゴールを明確にする」ところから始めるとよいでしょう。
なぜなら、依頼者が求めているのは、ほぼすべての場合において成果物としてのWEBサイトそのものではなく、「それによって得られる成果」だからです。マーケティングの世界で必ず出てくる、レビット博士の「ドリルを買いに来た人が欲しいのは、ドリルではなく穴である」という有名な理論は、提唱されて半世紀以上経った現代にも生きています。

このドリルの例を、もう少し掘り下げて考えてみます。
ドリルを買いに来た人は、どんな素材に、どんな穴を開けたかったのでしょうか?
「素材が木でできていて直径5ミリの穴を開けたい」というのであれば、小型の一般家庭用のドリルと、ビットと呼ばれる先端金具(木工用)を購入すれば充分でしょう。
しかし、これが「ステンレス素材」だったらどうでしょうか? ステンレスは硬い合金で、プロでも穴開けしにくい素材といわれています。ここに理想的な穴を開けようとすれば、先ほどの家庭用ドリルや木工用のビットではとても歯が立たないでしょう。回転数の調整ができる本格的なドリルやステンレスに対応できるビット、そして冷却効果のある切削油などが必要になります。
このように、どのような素材に、どのような穴を開けたいのか=ゴールをきちんと確認し、それを実現するためにはどのようなスペックのドリルやパーツが必要で、どのような手順で行っていくのがいいのかを最初に決めることが重要です。ぼやっとしたイメージだけで進めると、途中で何度も修正が入ったり、やり直すことになってしまいます。 筆者が「最初にゴールを明確に」と述べている理由はここにあります。

3.ゴールの設定にSMARTな考え方が大切な理由

ゴールの設定方法については、さまざまな理論やメソッドがありますが、筆者は、日々クライアントと関わらせていただいているなかで、近年の組織に適合するものとして、SMART Goalsの考え方をベースにしています。
SMARTとはSpecific(具体的な)、Measurable(測定可能な)、 Achievable (達成可能な)、Relevant(適正な)、 Time-bound(期限が明確な)の意味で、筆者は、案件に応じてこの5つを意識しながら理想形=ゴールを設定しています。
SMART Goalsをお奨めするのは、組織でゴールを共有する場合、それが具体的で、目標として数値化しやすく、努力をすれば達成可能なものであり、期限を定めることによって関わる人たちのモチベーションを高めながら進捗や達成度合いを共有できるという理由からです。

たとえば、「現行のサービスサイトが古めかしく、競合他社に見劣りするので新規開拓や集客で不利になっている」といった問題がある場合には、以下のように、何を、どのように、いつまでにやるのか明確にし、関わる人の業務に落とし込んでいきます。
① 同一エリアの競合調査でWEB施策上最も優れていると見られるA社のサイトを超える
② 自社サービスのブランド価値を高めるデザインとメッセージに刷新する
③ プロジェクトのキックオフから120日で制作、リリースする
④ リリース後90日までに5つの特定キーワード検索で上位5位以内に入る
⑤ リリース後180日でCVRを現行の120%とする

いかがでしょうか。組織で共有すべきゴールが、かなり明確になったのではないでしょうか。
今回のコラムでは、マーケティングにおける問題解決で以下の内容についてお話ししました。

  • ●問題解決とは、共通の理想形=ゴールと現状のギャップを埋めること
  • ●最初にまず、明確なゴールの設定を行うことが重要
  • ●ゴールの設定方法としてSMART Goalsの5つのポイントを推奨
問題解決 お役立ちコラムとは

VUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)の時代と呼ばれる現代においては、想定外のことが次々に起こり、ビジネスの現場でも噴出する問題に対処しながら、仕事を進めていかなくてはなりません。
そうした際に発想のヒントとして少しでもお役に立てるよう、コミュニケーションデザインの最前線で35年以上戦っている筆者が、マーケティングに関わるさまざまな問題・課題の解決策についてまとめたコラムです。

監修 杉山 信一

エーディープラント株式会社 代表取締役、早稲田大学商学部卒、広告クリエイティブ業界歴35年以上、WEB業界歴10年以上。マーケティング&ブランディングコンサルタント、クリエイティブディレクター。