集客戦略ホームページPart 1
自社サイトのSEO状況
WEBサイトを運用していくうえで、SEOは集客の原動力ともいえる施策です。「どのキーワードで上位を狙っていくべきか」については、顧客側の検索意図を想像しながら、自社の商品・サービスが優位に立てるフィールド(主戦場)を見つけ、そこで重要なキーワードを勝ち取っていく発想が重要になります。マーケティングの原点ともいえる3C(顧客・自社・競合)分析の応用です。以下は「はじめの一歩」とも言うべき、「自社サイトのSEO状況を把握する」方法です。
まず、ターゲットが知りたいと思う「検索キーワード」を想定し抽出することから始めます。
1語のビッグキーワードだけでの上位表示は難しいので、2ワードの組合せ(たとえば「集客したい地域名」と「自社の主要サービス」の掛け合わせ)を10くらい選んでみます。この時に、検索窓に選んだワードを入れると、窓の下に「サジェストキーワード」が出てきたり、ページの下段に「関連キーワード」が出てきたりしますので抽出のヒントにしてもよいのですが、それらはターゲットに合わせて絞り込まれた結果ではなく、一般の検索結果から導き出された言葉ですので参考程度に見たほうがよいでしょう。
あくまで3Cをベースに発想を広げ、そこからフォーカスし、選定するワードの精度を上げていくべきです。
1で選んだワード(最初のうちは2語の掛け合せ)をGoogleで検索し、自社のサイトが何位に出てくるかを調べてみます。5位以内であればベスト、10位以内であればベター。11位以下だと、かなり集客力が弱くなるので対策が必要です。
同時に、このワードで出てくる企業やサービス分野が本当に自社のビジネス上の「主戦場」であるかも見極め探っていきます。この作業はランチェスター戦略(弱者と強者の立場に応じた戦略論)にも通じるのですが、自社が取りたいマーケットを細分化して、勝てるフィールドで上位、できれば1位を狙うのです。この「戦うフィールドを探りながらのキーワードの深掘り」が、実践的なSEOでは重要なポイントになります。
2の検索ワードで出てくる企業やサービス分野が自社の戦うフィールドであると判断できた場合は、トップ10位くらいまでに出てくる競合企業サイトの会社名、サイトの概要についてリスト化し、分析していきます。
これらの作業により、ネット上での競合状況や、他社サイトの強みと弱み、自社サイトのポジション等を把握し、戦略立案に役立てていきます。
ケーススタディ
神奈川県内の「オフィス家具・事務機器や1)「神奈川 オフィス家具」で検索をかけると、上位は中古・リサイクル家具の販売会社のECサイトで占められていて、新品のオフィス家具やICT化を商品・サービスとして提供するオフィス専門商社の戦うフィールドになっていないことが判ります。
2) 次に、「神奈川 事務機器」や「神奈川 OA機器」で検索をかけると、上位には旧タイプの事務機器・用品を扱う会社が名を連ね、それぞれの会社はHPの構造やデザインも古いため、このフィールドは「上位を取れる狙い目」であることが判ります。
3) そうして調べていくうちに「神奈川 オフィスレイアウト」「神奈川 オフィスづくり」といったキーワードで検索をかけると、設計、デザイン、内装工事、移転、リニューアル、家具、備品、OA機器、ICT導入… といったオフィスに関わる製品、サービス、技術を総合的に扱おうとする「新タイプの企業」が見えてきます。この分野で上位を取れれば、「オフィスづくりに関わる総合的なビジネス」につながる、つまり売り上げが大きくなる可能性が高くなる訳です。
戦略WEBサイトを新設したりリニューアルする際には、今後この分野の主流になりそうな3)のフィールドで戦えるように全体設計やコンテンツ設計を行い、旧来の事務機器会社の多い2)のフィールドで優位に立てるように集客戦略を組み立てていきます。
以上、自社のSEO状況を把握する流れについてお話ししましたが、このようにネット検索からキーワードを深掘りし、イマジネーションを広げ、マーケットを細分化し、戦う相手やフィールドを探っていく作業は、SEO施策のリサーチレベルだけでなく、自社の商品、営業、組織等の在り方を決定していく経営戦略レベルにおいても役立ちます。
問題解決マーケティングについては、
集客戦略ホームページPart2 「SEOライティング」
集客戦略ホームページPart3 「SEOからコンバージョンへの連携術」
集客戦略ホームページPart4 「WEBブランディング」
でも解説していますので、併せてお読みいただけますと幸いです。
VUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)の時代と呼ばれる現代においては、想定外のことが次々に起こり、ビジネスの現場でも噴出する問題に対処しながら、仕事を進めていかなくてはなりません。
そうした際に発想のヒントとして少しでもお役に立てるよう、コミュニケーションデザインの最前線で35年以上戦っている筆者が、マーケティングに関わるさまざまな問題・課題の解決策についてまとめたコラムです。